機械学習 2018 4 22
書名 いちばんやさしい機械学習プロジェクトの教本
著者 韮原 祐介 インプレス
この本は、技術者やプログラマー向けの本ではなく、
会社の企画部門の人や経営者向けの本です。
そういうわけで、
プログラミング言語の「Python」によるプログラミングや、
GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェアの話もありません。
一方で、一般の人が、
AI(人工知能)を学ぶような入門書ではありません。
つまり、対象者を絞った本と言えるでしょう。
さて、「機械学習」というネーミングが悪いかもしれません。
一般の人は、「機械」というと、
工場にある大型の機械を連想してしまい、
コンピューターを連想しないかもしれません。
どのような分野でも、
入門者の多くは、案外、独特な専門用語でつまづくのです。
そういうわけで、「機械学習」というネーミングは失敗だと思います。
著者は、このように説明します。
機械学習とは、簡単に言えば、
データからパターンやルールを機械自身に見つけさせる仕組みです。
(引用、以上)
ここで言う「機械」とは、コンピューターのことです。
みんなにわかりやすいネーミングにするとなると、
「コンピューター自身による自己学習」、
あるいは、「コンピューター自己学習」でしょう。
さて、コンピューターが数多くのデータから、
パターンやルールを見つけるというと、
抽象的でわかりにくいかもしれません。
たとえば、大きな駅の改札を入ると、
右に曲がる人が多いか、左に曲がる人が多いか。
右に曲がる人は、男性が多いか女性が多いかというのは、
パターンを見つける「機械学習」かもしれません。
あるいは、街中を歩いている女性の服の色は、
現在、何色が多くなったのか。
これを年代別に分けて「機械学習」をすれば、
「今、流行している服」、あるいは「これから流行する服」がわかるかもしれません。
さらに、顔認証システムを使って、
日本人は、風邪が流行ってくると、マスクをする人が多くなるので、
顔認証データを「機械学習」すれば、
コンピューターが、「この地域は、風邪が流行り始めている」と判断するかもしれません。
もっとピンポイントで、「この会社では、風邪が流行っている」とわかるかもしれません。
AIコンピューターによって、
私たち人間が経験や勘で判断していることを正確に判断してくれるでしょう。
人間の経験や勘は、だいたい正しいものですが、
やはり、「思い込み」などが入って、客観的な判断になるとは限らないのです。
さて、AIの分野においては、アメリカや中国と比較すると、
日本は大きく遅れてしまいましたが、
日本人の特性を考えると、
やがて、日本が、AIの分野で、世界のトップランナーになるかもしれません。
日本人というものは、みんなで集団で一定の方向を目指すと、
大きな成果が出るからです。
ここは、欧米の個人主義と大きく違うところです。
狩猟社会においては、個人の技術に大きく依存しますが、
農耕社会においては、集団の力が大きなものとなります。
GPUの威力 2018 2 4
GPU(グラフィックカード)は、
今や、ゲーム用ではなく、
AIコンピューターの心臓部になっていると書きましたが、
どれほどGPUがすごいのかについて、
中島能知氏の著書によると、
「NVIDIAの『GeForce GTX 1080 Ti』の演算能力は、
11テラFLOPSに達します。
20年ほど前に、
600億円かけて開発された初代の地球シミュレータは40テラFLOPS。
これは、最新のGPUの4つ分程度(約50万円)です」とあります。
「GeForce」といえば、
パソコンゲームの愛好家には、有名なブランド名でしょう。
パソコンでゲームをするならば、
グラフィックボードのGeForceを手に入れる必要があると言われたものです。
それが、今や、GPUは、AIコンピューターの必須アイテムになっているとは、
「時代の流れが早い」と言えるでしょう。
ソフマップドットコムで調べてみると、
「GeForce」のグラフィックカードは、
安いものは2万円程度から、高いものは7万円程度でした。
最新型から旧モデルまであるということでしょう。
(「1080 Ti」は、12万円でした)
なぜ、グラフィックカードという部品が、
ソフマップドットコムで売られているかというと、
デスクトップパソコンでは、後から、
グラフィックカードを買ってきて、
増設(補強)することができるからです。
(ただし、市販のパソコンでは、電源の容量を超える可能性があります)
おそらく、市販のパソコンは、
ゲーム用パソコンでない限り、
グラフィックカードは付属していないと思います。
もちろん、パソコンでインターネットを見たり、
ワードやエクセルに使うのには、グラフィックカードは不要です。
しかし、パソコンで、
AIコンピューティングをやってみたいとなると、
グラフィックカードは必要になってきます。
今、AIコンピューティングで先頭を走っているのはアメリカで、
それを猛烈に追いかけているのは、中国です。